なせる業

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月がきれいである。   空気が澄んでいる。  今夜から寒が戻るそうだ。

なんか時間がゆっくりあると普段使わなくなった部屋の整備整理をしたりなんかしてしまう。

その物置と化した部屋にある古いアルバムなんぞに眼が留まり、何のことはない腰をすえて見入っていたりする。

ちょうど子供が二、三歳のころの写真である。 家族の意見もろくに聞かず、良かれと思いつつ趣味でもあるキャンプにつれまわっていた頃でもある。

車の上にカヌーを積んで四万十川へ、そこで家族四人と犬一匹がカヌーに乗り込み三泊四日かけて五月の連休に川下をする。 刻一刻変わる風景と風と光を感じながら、流れにうまく乗れるように舟をコントロールする。 その舟の上でラーメンを作りそれを鼻をたらしながら食っている子供の写真が、その事実を昨日のことのように思い出させる。 無邪気な顔が幸せを最大限に物語る。

まだ子犬だった我が家の犬君は川面に写る風景を岸と勘違いして川に飛び込み、まったくの予想外に混乱したのかおぼれそうになり、私によって救い上げられたがしばらく放心状態であったなあ。 

その犬君も今年十六歳で旅立った。

マイナス七度の真冬の山キャンプでは、すべてのものが氷の世界に早変わりした。 なべも食器もテントも車も服もテーブルもいすも何もかも凍りついた。 翌朝の朝日を浴びたそれらの神々しい世界は美しさを通り越していた。 その時撮った写真はアウトドア雑誌にも掲載された。

鼻たれ小僧と化したわが家族はそれでもキャンプを楽しんでいた。 ?  かみさん以外かも・・

 

そんな鼻たれどもの下の子も、来春早々二十歳を祝う。

久々に家族四人が一つの部屋に集った。

体が大きくなり、もう四人でカヌーには乗れなくなったけど、今度は少しずつこれから自分の家族を持つ世界に踏み出していくんだろうなあ。

それぞれがそれぞれの家族を持ち、また小さな命を授かれたなら、あのときのカヌーが活躍するかも知れないなあ  ・・ などと勝手に思いを走らせてしまったのは、 古いアルバムのせいかなあ。

 

何のことはない  また作業が滞ってしまった。  ゆっくり時間のなせる業である。

 

  

 

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